医療ニュース

2013年4月2日(火) 座りっぱなしの生活がガンや糖尿病のリスク

 座っている時間の長い人が糖尿病や心疾患といった慢性疾患のリスクになるという情報は過去何度かお伝えしていますが(下記医療ニュースも参照ください)、新たに研究が発表されましたので報告いたします。


 一日に座っている時間が長いほど、糖尿病や高血圧、心疾患、ガンなどに罹患しやすい・・・。

 これは、医学誌『International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity』2013年2月8日(オンライン版)に掲載された論文(注1)によるものです。

 この研究は、オーストラリアのニューサウスウェールズ州に在住する45~65歳の男性63,048人を対象とし、慢性疾患の有無と一日に座って過ごす時間との関係が調べられています。

 結果は、座っている時間が1日4時間以下の人は、毎日4時間以上座って過ごす人に比べて、ガン、糖尿病、心疾患、高血圧などの慢性疾患を有する率が大幅に低い、というものです。特に糖尿病については、1日6時間以上座って過ごす人はリスクが大幅に増加するようです。

 尚、対象者の運動の程度や所得、教育レベルなどを勘案しても結果に変わりはなかったようです。

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 この研究で興味深いのは、「運動の有無にかかわらず座りっぱなしの生活が慢性疾患のリスクを上げる」、としていることです。座りっぱなしの時間が長い人、と聞くと、運動が嫌いで1日中テレビを見て、どちらかと言うと低所得者のイメージを持ってしまいますが、そのような人だけではなく、座る時間が長ければ他の条件に関わりなく生活習慣病やガンになりやすい、ということをこの研究は語っています。

 座りっぱなしが健康に悪いというのは常識的に理解しやすいことですが、私個人の印象は、座る時間が長かったとしても定期的に運動している人は生活習慣病になりにくい、というものです。しかし、今回の論文もそうですし、過去に紹介した研究(下記医療ニュース参照)でも、「運動の有無に関係なく座りっぱなしがマズイ」としています。

 今後は「テレビをみるときもインターネットをするときも立ったままで」が健康の秘訣となるかもしれません。さらに、「デスクワークをするときも車を運転するときも定期的にお尻を上げて空気椅子を」と言われるようになるかもしれません・・・。

(谷口恭)


注1:この論文のタイトルは、「Chronic disease and sitting time in middle-aged Australian males: findings from the
45 and Up Study」で、下記のURLで全文を読むことができます。

http://www.ijbnpa.org/content/10/1/20

参考:医療ニュース
2010年7月30日 「座っている時間が長い人は短命?」
2010年1月25日 「テレビの見すぎが寿命を縮める?」
2011年8月30日 「テレビの見過ぎで寿命が短く」
2011年1月14日 「2時間以上のテレビやパソコンは心臓病のリスク」