医療ニュース

2012年10月1日(月) コーヒーは消化管疾患と無関係

 コーヒーは身体にいいことばかりで、いくつかのガンの予防にもなって、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防にもなるんですよ、ということをこのサイトで何度かお伝えしてきました。しかし、コーヒーは苦手、という人が少なくないのも事実です。コーヒーが苦手な人の意見で多いのが「胃に悪いのではないか」というものです。

 コーヒー摂取と代表的な4つの上部消化管疾患にはなんら関係がない・・・

 これは、2012年9月13日に東京で開催された第16回コーヒーサイエンスセミナーで東大病院消化器内科の医師が報告した研究結果です(注1)。「4つの上部消化管疾患」とは、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃食道逆流症、非びらん性胃食道逆流症の4つです。

 この研究では、過去に胃の病気を指摘されたことがない健康診断で内視鏡検査(胃カメラ)を受けた8,013人(男性4,670人、女性3,343人)が対象とされ、コーヒー摂取と4つの上部消化管疾患発症の関連が調べられています。

 内視鏡検査及び問診から発覚したのは、胃潰瘍172人、十二指腸潰瘍282人、胃食道逆流症994人、非びらん性胃食道逆流症1,118人です。1日のコーヒー摂取量については、1杯未満が2,473人、1~2杯は2,978人、3杯以上は2,562人とのことです。これらからコーヒー摂取と消化管疾患の関連性を分析したところ、有意な差は認められなかったそうです。

 逆に、これら4つの疾患と有意な関連が認められたのは下記の通りです。

・胃潰瘍:ピロリ菌陽性、高齢者、喫煙、男性
・十二指腸潰瘍:ピロリ菌陽性、ペプシノゲンⅠ/Ⅱ比高値、BMI低値、喫煙
・胃食道逆流症:ピロリ菌陰性、男性、BMI高値、ペプシノゲンⅠ/Ⅱ比高値、高齢者、喫煙、飲酒
・非びらん性胃食道逆流症:若年者、女性、喫煙、BMI高値

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 コーヒーが胃に悪いと考えられていた(いる)のは、コーヒー摂取により胃酸の分泌が亢進するからです。今回の研究から言えることは、「コーヒーで胃酸分泌が増えてもそれが消化管疾患の発生につながるわけではない」ということです。

 コーヒーの味や香りが嫌い、という人は別ですが、「胃に悪いからコーヒーを控えている」という人にとっては嬉しい研究結果となるでしょう。ただし、コーヒーが身体に有害とする研究結果も存在することは覚えておくべきでしょう。(下記コラムも参照ください)

 最後にコーヒーの豆知識を2つ紹介したいと思います。1つは、日本人は世界的にみてもコーヒー好きで、コーヒー消費量は世界第4位ということです。ちなみに、1位はアメリカで、2位がブラジル、3位がドイツです。私のイメージでは、フランスやイタリアが多いような印象があったのですが、ヨーロッパではドイツが1位で、そのあとに日本がきているというのは少し意外でした。

 もうひとつの豆知識は、本日(10月1日)が「コーヒーの日」ということです。これを知ったからといって別にいいことはありませんが・・・。

(谷口恭)

注1(2013年9月2日付記):この研究結果は後に論文にされ、医学誌『PLoS One』2013年6月12日号(オンライン版)に掲載されました。タイトルは、「No Association of Coffee Consumption with Gastric Ulcer, Duodenal Ulcer, Reflux Esophagitis, and
Non-Erosive Reflux Disease: A Cross-Sectional Study of 8,013 Healthy Subjectsin Japan」で、下記のURLで全文を読むことができます。

http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0065996


参考:
はやりの病気第22回(2005年12月) 「癌・糖尿病・高血圧の予防にコーヒーを!」
はやりの病気第30回(2006年4月) 「コーヒー摂取で心筋梗塞!」
医療ニュース2008年9月13日 「子宮体癌の予防にコーヒーを」
医療ニュース2008年6月30日 「コーヒーはいいことばかり」
医療ニュース2007年10月16日 「お酒の代わりにコーヒーを、すい臓ガンを予防」  
医療ニュース2007年9月3日 「コーヒーは肝臓癌のリスクを下げる」

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