医療ニュース

2014年1月28日 やはりビタミン・ミネラルのサプリメントは利益なく有害

 過剰な宣伝効果のせいか、マルチビタミンやミネラルはいまだによく売れているそうですが、USPSTF(U.S. Preventive Services Task Force、米国予防医療研究チーム)は、すでに2003年に、「ビタミンA、C、E、葉酸入りマルチビタミン、抗酸化物質は推奨する根拠がない(だから推奨しない)」と公表しており、さらにβカロテン(カロチン)については、「喫煙者などの肺ガンのリスクを高める」ことを指摘しています。

 新たに系統的な分析をおこなった結果、やはりサプリメントには心血管疾患予防やガンの予防、死亡リスクを低減する効果はなかった。また、やはりβカロテンは喫煙者などの肺ガンのリスクを高める可能性があることがわかった・・・

 これは、医学誌『Annals of Internal Medicine』2013年12月17日号(オンライン版)に掲載された論文の結論です(注1)。

 研究者は、2003年の上記USPSTFの発表後に報告されたサプリメントの利益と害に関するいくつかの文献を系統的に解析することによってこの結論を導いています。

 一部の研究では、長期間マルチビタミンを摂取していた男性は発ガンリスクが低下するというものもあったようですが(下記医療ニュース2012年11月3日参照)、他の良質な研究も交えて総合的に解析すると、ビタミンやミネラルのサプリメントが心血管疾患やガンのリスクを下げる効果はない、という結論が出たそうです。

 有害性については、一部の研究で、ビタミンAが肺ガンと股関節骨折のリスクを上昇させる可能性が指摘されています。別の研究では、葉酸が前立腺ガンのリスクを上昇させるというものもあったようです。また、カルシウム摂取が大腸ガンのリスク上昇を示唆したものもあり、ビタミンDとカルシウムの併用で腎結石リスクが上昇することを示した研究もあります(これは以前から何度も指摘されていました)。βカロテンは、喫煙者などの肺ガンのリスクを上昇させることが確認されたようです。

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 私は権威に対して盲目的に従うタイプの人間ではありませんが、2003年のUSPSTFの「ビタミン・ミネラルのサプリメントは効果なくむしろ有害性がある」という発表を受けて、個人的にこういったサプリメントの摂取を一切やめました。科学系の雑誌やネットなどでも少しはこのようなことが報じられましたが、もうひとつ世間には伝わっていないように思えます。

 なぜか大手のマスコミはサプリメントが有益でないことや有害性があることについての報道をあまりおこないません。薬やワクチンの副作用を大きく取り上げるのとは対照的です。これはなぜなのでしょう。サプリメントのメーカーがスポンサーになっているからではないのか、と疑われても仕方がないのではないでしょうか。

 ただ「サプリメントを飲み出してから身体の調子がいい」と言う人がいるのも事実です。私自身はやみくもにサプリメントを否定するつもりはありませんが、長期摂取で有害性が出れば問題です。サプリメントを摂取している人は一度主治医に相談した方がいいでしょう。

(谷口恭)

注1:この論文のタイトルは、「Vitamin and Mineral Supplements in the Primary Prevention of Cardiovascular Disease and Cancer: An Updated Systematic Evidence Review for the U.S. Preventive Services Task Force」で、下記のURLで全文を読むことができます。
http://annals.org/article.aspx?articleid=1767855#Abstract


参考:
メディカルエッセイ第123回(2013年4月)「カルシウムのサプリメントは危険か」
医療ニュース
2011年11月14日「ビタミンEの発ガンリスク」
2012年3月13日「ビタミンE過剰摂取で骨粗しょう症に」
2011年8月26日「ビタミン剤で発ガンのリスク上昇」
2012年11月3日「マルチビタミン摂取でわずかながらもガン減少」
2012年6月30日「カルシウムのサプリで心筋梗塞のリスクが2倍」

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