医療ニュース

2009年7月12日(日) スリランカのデング熱対策

 このウェブサイトでは何度もお伝えしていますように、2007年あたりから東南アジアや南米でデング熱が急増しています。

 スリランカでもデング熱の罹患者・死亡者が急増しているようで、スリランカ保健省は7月7日、今年(2009年)のデング熱による死亡者が少なくとも163人に達しており、すでに2008年全体の2倍以上になっていることを公表しました。感染者も約14,750人にのぼるとのことです。(報道は7月8日の共同通信)

 これを受けて、スリランカ政府は、殺虫剤を散布するなどしてデング熱を媒介する蚊の駆除対策に全力を挙げています。さらに、蚊の発生源となる自宅敷地内の水たまりをなくすなどの対策を講じない者には最高25,000ルピー(約220USドル≒約2万円)の罰金、もしくは禁固6ヶ月の厳しい罰則を科す方針を発表しています。

 また、キューバから蚊の幼虫を殺すバクテリアを輸入していることを関係者が明らかにしたようです。

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 以前、デング熱は蚊を駆除することによってかえって重症化するという研究があることをご紹介しました。(下記医療ニュース参照)

 スリランカが蚊の対策を徹底的におこなうことによって重症化するケースが増えるのかどうかは注目すべきだと思われます。

参考:
医療ニュース 
2009年3月17日「アジアでデング熱が蔓延」
2009年1月27日「マレーシアでデング熱が急増」
2008年7月24日「デング熱は蚊を駆除すると重症者が増加!?」
2008年4月3日「ブラジルでデング熱と黄熱が大流行」
2008年2月19日「タイでデング熱が急増」
2007年2月17日「インドネシアでデング熱がアウトブレイク!」
2007年2月11日「アジア渡航者はデング熱にご用心」

はやりの病気第60回「虫刺されにご用心」

(谷口恭)