消化器症状(IBS、便秘、ピロリ菌、GERDなど)

Q1 便秘が治りません…
Q2 下痢が治りません…
Q3 ピロリ菌の有無は簡単に調べられるのですか
Q4 ピロリ菌の除菌は必ずすべきなのですか
Q5 大腸がんの新しい検査とは?
Q6 逆流性食道炎が治りません…



Q1 便秘が治りません…

A1 他のほとんどの慢性疾患と同様、便秘の場合も薬に頼るのではなく最も重要なのは生活習慣の改善です。実際、食事(特に発酵食品の効率的な摂取)と運動(最も有効なのは規則的に腸管を動かすような運動)でかなりの便秘が改善します。他に試みるべきこととして「トイレの小さな足置き台」が推薦されることもあります。

また、薬を用いるにしても「便を柔らかくする薬」や「腸管を刺激して動かす薬」に頼る前にプロバイオティクス(整腸剤)を使うべきです。詳しくは下記「はやりの病気」を参照ください。

また、重要な疾患が潜んでいないかどうかは常に注意しなければなりません。特に成人してからの便秘の場合は、甲状腺機能低下症、大腸がん、糖尿病、パーキンソン病などのせいで便秘が起こっていることがあります。

参考:
はやりの病気第116回(2013年4月)「便秘を治す(前編)」
はやりの病気第117回(2013年5月)「便秘を治す(後編)」


Q2 下痢が治りません…

A2 便秘と同様、慢性の下痢の場合は薬に頼るのではなく最も重要なのは生活習慣の改善です。ですが、見逃してはならない疾患が潜んでいないかどうかも常に注意する必要があります。長引く下痢の原因として最も多いのは過敏性腸症候群ですが、なかには潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性疾患、あるいは結核やアメーバ赤痢といった慢性化する感染症が原因である場合もあります。

下痢だからといって安易に下痢止めを用いるべきではありません。まず原因の探索をしっかりおこない、薬を使うとしてもプロバイオティクス(整腸剤)から始めるのが基本です。急性の下痢の場合は、感染症であることが多く、この場合は病原体の特定を急ぐ必要があることもあります。

参考:
はやりの病気第101回(2012年1月)「増加する炎症性腸疾患」


Q3 ピロリ菌の有無は簡単に調べられるのですか

A3 血液検査、尿検査などで簡単に調べられます。(ただし無症状の場合は自費診療となります) また便の検査や呼気検査、内視鏡検査でも可能です。


Q4 ピロリ菌の除菌は必ずすべきなのですか

A4 これは医師により考え方が異なります。当院では陽性者全例に除菌を勧めていません。除菌のメリット、デメリットを理解いただいた上で個別に検討することになります。

参考:
毎日新聞「医療プレミア」2017年7月2日「ピロリ菌「全例除菌」を勧めない理由

初めての場合は、まず「一次除菌」をおこないます。2種の抗菌薬(AMPCとCAM)及びPPIと呼ばれる胃薬を1週間内服します。これで除菌に成功する確率は約7割です。一次除菌に失敗した場合、二次除菌をおこないます。2種の抗菌薬(AMPCとMNZ)とPPIを用います。当院では二次除菌をおこなっても失敗した例はまだありませんが、全国的には失敗例も増えているようです。その場合三次除菌、さらに四次除菌…、と進みますが、三次除菌以降は保険適用がありません。


Q5 大腸がんの新しい検査とは?

A5 大腸がんの古典的な検査は「便潜血反応」です。健康診断などでも実施される便を提出して血液が混じっていないかどうかを調べるものです。これは安全で安いという長所がありますが、正確さにかけると言わざるをえません。「陰性」となっても大腸がんであるケースもよくあるからです。どうしても気になるという人は大腸ファイバー(大腸内視鏡)をおこなうのがいい方法ですが、ラクな検査とは言えないかもしれませんし、それなりの費用がかかります(無症状でおこなえば自費診療になります)。

最近、大腸がんを含む複数のがんを初期の段階で感知することのできる新しい血液検査法が開発されました。マイクロアレイと呼ばれるものです。高額になり、歴史の浅い検査のため、当院では現時点(2017年11月)では実施していませんが、最近患者さんからの要望が増えてきており、今後おこなうべきかどうか検討中です。

尚、人間ドックなどで過去に実施されていた「腫瘍マーカー」と呼ばれるものは、がんの早期発見にはまったく役に立ちません。(最近はおこなわれなくなったと思いますが、今でもときどき「(がんの早期発見のために)腫瘍マーカーを調べてほしい」という問い合わせがあります。もちろん「無意味なことはやめるべき」と断っています)

また、PETと呼ばれる全身に放射線をあてる検査も過去にがんの早期発見目的で希望する人がいましたが、これもそれなりにがんが進行しないと検知されない検査です。被爆量を考えるとデメリットの方が大きいと言わざるを得ません。

参考:
メディカルエッセイ第158回(2016年3月) 「がん検診」の是非


Q6 逆流性食道炎が治りません…

A6 便秘や下痢と同様、逆流性食道炎も、強い薬を用いるのではなく、まず生活習慣の見直しが必要です。逆流性食道炎の場合は、「1回の食事量を減らすこと」と「食べた後横にならないこと」が重要です。可能な範囲で、少量の食事を繰り返し摂るようにし、食後は少なくとも1時間は寝そべらないことが必要です。

治療は一般的にはPPI(プロトンポンプ阻害薬)と呼ばれるものを使うことになっていますが、長期使用には様々な副作用があり、また保険診療上定期的に内視鏡(胃カメラ)をしなければならないので、使うにしても短期間にすべきです。(副作用については下記コラム参照ください)

ある程度改善すれば、H2ブロッカーや漢方薬などでもコントロールできることがありますし、薬を中止できることも多々あります。

また、比較的稀ではありますが、逆流性食道炎が治らないと思っていると実は「好酸球性食道炎」という難治性の疾患だった、ということもあります。(下記コラム参照)


参考:
はやりの病気
第170回(2017年10月)「最も難渋するアレルギー疾患~好酸球性食道炎・胃腸炎~」
第151回(2016年3月)「認知症のリスクになると言われる3種の薬」

医療ニュース
2017年11月15日 ピロリ菌除菌後の胃薬PPI使用で胃がんリスク上昇
2016年12月8日「胃薬PPI大量使用は脳梗塞のリスク」
2016年8月29日「胃薬PPIが血管の老化を早める可能性」
2017年1月25日「胃薬PPIは細菌性腸炎のリスクも上げる」
2017年1月23日「胃薬PPIは精子の数を減らす」
2017年4月28日「胃薬PPIは認知症患者の肺炎のリスク」

更新:2017年11月15日