医療ニュース

2019年8月29日 43歳以上の飲酒は翌日眠くなる

 「酒は百薬の長」、「少量の飲酒は健康にいい」、などと以前から言われていますが、果たして本当に正しいのでしょうか。過去に紹介したようにこれを否定する研究もあります(下記「医療ニュース」参照)。

 今回紹介したいのは「43歳以上の飲酒は翌日の眠気をもたらせる」というもので注目に値する研究です。医学誌『Occupational Medicine』2019年7月号に掲載された「ドライバーにおける日中の眠気とアルコール消費(Excessive daytime sleepiness and alcohol consumption among commercial drivers)」というタイトルの論文です。

 研究の対象者は全日本トラック協会(Japan Trucking Association)に登録されている20~69歳の男性ドライバー1,422人で結果は次の通りです。飲酒翌日の日中の眠気が飲酒でどのように変わったかが算出されています。

〇43歳未満の場合

軽度飲酒者:非飲酒者と比べて眠気は19%減少
中等度飲酒者:7%減少
大量飲酒者:39%減少

〇43歳以上の場合

軽度飲酒者:非飲酒者と比べて眠気は42%上昇
中等度飲酒者:53%上昇
大量飲酒者:337%上昇

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 私が知る限り、この研究これまでに一般のメディアで紹介されていないようですが、驚くべき結果です。43歳以上で大量飲酒をすれば、翌日の眠気のレベルが3.37倍(337%)になるというのです。そして、興味深いことに43歳未満なら大量飲酒で逆に眠気が4割も低下するのです。

 43歳まではたっぷりと飲んで、43歳の誕生日がくるとお酒をやめましょう、というような単純な話ですが、この結果をよく考えるべきでしょう。「酒は百薬の長」は43歳未満の場合だけかもしれません。

参考:
医療ニュース
2017年6月26日 「少量の飲酒でも認知症のリスク!?」
2011年10月26日 「女性は中年期の適量の飲酒で高齢期が健康に」
2011年1月9日 「飲酒→睡眠→運転はキケン!」
2010年5月21日 「飲酒によりリンパ系腫瘍のリスクが低減」
2010年8月23日 「飲酒が関節リウマチに有効?」
2010年4月8日 「適度な飲酒は女性の体重増加を抑制」
2009年9月10日 「 自殺者の4人に1人がアルコール問題」
マンスリーレポート
2012年6月号 「酒とハーブと覚醒剤」