A型肝炎ウイルス(HAV)とは 

 HBVが血液や精液・腟分泌液に含まれているのに対し、A型肝炎ウイルス(以下HAV)スは口から感染し(経口感染)、糞便に排出されます。したがって、糞便を肥料にして栽培された生野菜が危険であると言われています。現在の日本では糞便の肥料はそれほど多くはありませんが、中国やインドなどでは地域によっては現在も一般的な栽培法となっています。  

 また、カキにも含まれていることはよく知られており、生カキには、毎年冬になると猛威をふるうノロウイルスと同様、HAVにも注意をしなければなりません。(最近では、2010年春にも流行しました)

 HAVウイルスが性感染症に含まれる理由は、肛門性交をおこなう人がいるからです。しかし、それだけではありません。肛門付近に付着しているウイルスが性行為の際、手に付いて、パンなどを手で食べるときに口の中に入って感染、ということが可能性としてはあります。

 潜伏期間は2週間から2ヶ月程度です。症状は急性B型肝炎のときと同じような、発熱、倦怠感、消化器症状などで、進行すれば黄疸が出現します。

 また、1%未満の確率ですが劇症化することもあります。ただし、慢性化することはなく、慢性A型肝炎という病気は存在しません。



●HAVワクチン接種方法

 
初診:血液検査
 まずは血液検査をおこない、過去に感染したことがあるかどうかを示す抗体(IgG型HA抗体)の有無を調べます。この結果は約1週間ででます。ただし、問診で感染の可能性がなさそうであれば、そのままワクチン接種に入ることもあります。
 
第1回:1回目のワクチン接種
 血液検査で抗体がないことが分かればワクチン接種にうつります。
 ワクチンは筋肉注射です。量は0.5ccです。
 
第2回:2回目(3回目)のワクチン接種
 1回目のワクチン接種から約4週間が経過した後、2回目のワクチンを打ちます。尚、3回目を接種するかどうかはその人の年齢などによります。3回目接種は2回目接種の約5ヶ月後です。
 
第3回:血液検査(抗体検査)
 抗体がつくられたかどうか、確認のための血液検査をおこないます。


●Q&A

(1)HAVワクチンは接種すれば必ず抗体がつくの?


HAVワクチンは大変すぐれたもので、2~3回の接種でほぼ全員に抗体がつきます。(当院でも2012年3月現在、抗体がつかなかった人はひとりもいません)。

(2)HAVの抗体は生涯有効なの?

HAVのワクチンは比較的歴史が新しく(日本で認可がおりたのは1995年)、まだ長期間にわたるワクチン有効性の検証ができていないのが現状です。このため、現時点では、HBVワクチンのように生涯有効とは言い難いと思われます。

しかしながら、いったん抗体がつけば少なくとも5年から10年程度は有効であろうと考えられています。気になる方は抗体形成から5年くらいした後に、一度検査を受けてみてもいいかもしれません。



2012年3月19日
太融寺町谷口医院
院長 谷口恭