長引く咳(せき)・ぜんそく・咳ぜんそく

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参照:はやりの病気
第110回2012年10月「長引く咳(前編)」
第111回2012年11月「長引く咳(中編)」
第112回2012年12月「長引く咳(後編)」
第114回2013年2月「花粉と黄砂とPM2.5」



プライマリケアや総合診療の現場で最も多い訴えのひとつ、それが「長引く咳」です。長引く咳の原因は様々で、感染症もあればアレルギー性もあれば、悪性腫瘍が原因ということもあります。また、呼吸器ではなく消化器が原因であることや、心因性ということもあります。長引く咳は、何もせずに放っておいていいものから直ちに入院しなければならないものまで様々なものがあります。


●こんなときは医療機関を受診しましょう

咳(せき)がでれば直ちに医療機関を受診しなければならないというわけではありません。「咳」の原因の大半は一時的な風邪ですから慌てすぎないようにしましょう。しかし、2~3週間たっても咳が続いている場合は医療機関を受診すべきでしょう。それが感染症であり、あなたの咳で他人に感染させてしまう可能性もありますし、放っておいてはいけない咳かもしれないからです。



●肺ガンや結核、肺NTM(MAC)症の可能性も・・・

たかが咳、と思っているとそれがガンだった、あるいは結核だった、ということがときどきあります。比較的若い患者さんの多い太融寺町谷口医院でも、年に1例くらいはこのような患者さんがこられます。また、長引く咳と痰の原因が肺NTM症(nontuberculous mycobacterial infection)、あるいは肺MAC症(Mycobacterium avium complex)である場合もあります。



●感染症では、マイコプラズマ、クラミジア(ニューモニア)、百日咳、RSウイルス、レジオネラが多い

咳の原因がこういった感染症であれば、あなたの咳で他人に感染させてしまう可能性があります。これらは適切な治療をおこなえば短期間で治りますから他人への感染を防ぐためにも受診が必要です。



●アレルギー性のものが最多

太融寺町谷口医院を受診される「長引く咳」で最も多いのが、ペット、花粉、ダニ、ハウスダストなどによるアレルギー性のものです。特に、夜間に咳が多いという人、小児喘息があったという人、花粉症がある人に、このタイプの咳が多いと言えます。また、アレルギーではありませんが、カビを吸い込むことによって起こる過敏性肺炎というものもあります。



●喫煙者はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に注意

タバコはすべての「長引く咳」の増悪因子となりますし、タバコそのものでCOPDを発症します。太融寺町谷口医院では、疑いがあれば、まず呼吸機能検査を実施します。



●ニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎)やアスペルギルス肺炎は免疫不全者に

すごく多いというわけではありませんがときどきあるのがこのタイプの咳です。特にHIV感染を放っておくと出現するカリニ肺炎は、咳だけでなくかなりの倦怠感を伴います。



●見逃してはいけない薬剤性

一番多いのが高血圧で使うACE阻害剤(商品名で言えば「カプトリル」「レニベース」など)ですが、他のものでもあります。



●逆流性食道炎による「長引く咳」

これは少なくありません。特に「決まった時間に咳がでる」「食後しばらくして咳がでる」という場合は一度は疑います。



●意外に多い心因性

これも少なくありません。場合によっては治癒するまで長期間を要します。



2013年3月22日