水虫・爪水虫・いんきんたむし・カンジダ


◎爪水虫の治療について


参考:はやりの病気第108回(2012年8月)「複雑化する水虫・カビの治療」

水虫の患者さんが増えています。水虫と言えば、以前は春から夏にかけてが多かったのですが、最近では季節に関係なく患者さんが来られます。水虫はひどくならないうちに治療を開始することが大切です!! ここでは水虫攻略のポイントをお話します。


★ポイント1 水虫はもはや春から夏だけではない!

 同居している人が水虫であれば、いずれあなたも感染するかもしれません。また、最近多いのは、サウナやスポーツジムなどに置いてあるバスマットからの感染です。これらのマットには、かなりの確率で水虫が棲息しています。自宅に帰ってからもう一度足だけ洗えば感染を予防することができます。最近は年中を通して水虫の患者さんが来られます。


★ポイント2 正確な診断がもっとも大切です!

 水虫にはかゆくなるものとならないものがあります。また、見た目も、ジュクジュクしたもの、カサカサしたもの、水ぶくれができるもの、赤くなるもの、茶色くなるもの、・・・、と様々です。一見水虫に見えて、実は別の病気ということもよくあります。この場合、間違った薬を塗り続けてかえって悪化することもありますので、まずは正確な診断をおこなうことが大切です。

 水虫の診断は顕微鏡でおこないます。水虫かそうでないかは、どんなベテランの医者でも顕微鏡を見るまでは確定できません。水虫かなと思ったら、まずは正しい診断をつけることから始まります。


★ポイント3 水虫は身体のいろんなところにできる!

 足の水虫が一番多いですが、体にできたり、股にできたり(いんきん)、頭にできる場合もあります。
 爪(特に足の爪)にもよくできます。爪の水虫の場合は、他の疾患と誤診しやすいので、顕微鏡での診断が他の部分よりも大切になってきます。

 さらに、最近増えているのが踵(かかと)にできる水虫です。踵の水虫はかゆみはまったくなく、単にカサカサするだけです。ですから、「(サンダルをはく)夏までに踵をきれいにしてください」、と言って来院される若い女性のケースが多いです。もちろん、踵の水虫ができるのは若い女性に限ったことではなく、男性や高齢者は「見た目の問題だけでかゆみがないから気にならない」という理由で受診されないようです。しかし、治療しないで放っておくと、身体の他の部位に感染したり、他人に感染させたりしますので、やはり治療は必要です。


 トリコフィトン・トンスランスと呼ばれる顔面や頭部にできる特殊型もあります。これは格闘技をする人の間で流行することがあります。

参考:はやりの病気第108回(2012年8月)「複雑化する水虫・カビの治療」

腟カンジダ症(カンジダ性腟炎)


カンジダは真菌で、分かりやすく言えばカビの一種です。腟内に感染しかゆみをもたらします。白っぽいオリモノが増えることもあります。この白っぽさは、酒かす様、ヨーグルト様などと表現されます。診断は通常顕微鏡ですぐに診断がつきます。

治療は、抗真菌薬の腟錠を使います。ひどければ内服薬を用いることもありますが、通常は腟錠のみで充分です。

腟カンジダ症が他の性感染症と異なる点は、性交渉がなくても感染しうる、ということです。これは、カンジダは腸管の中に棲息していることがあるからで、肛門から会陰部を通って腟の中までやってくるというわけです。特に、抗生物質を内服しているときには腸管内の細菌が死滅し、代わりに真菌であるカンジダが増殖するので、腟カンジダ症が起こりやすくなります。ちょうど、赤ちゃんに抗生物質を飲ませると、肛門周囲にカンジダ性皮膚炎が起こりやすくなるのと同じ理屈です。

あなたが男性で、もしもあなたの彼女が腟カンジダ症になったとしても、すぐに浮気を疑わないように注意をしましょう。


参考:毎日新聞「医療プレミア」2019年1月20日「ニキビ治療の抗菌薬で「カンジダ」発症のなぜ」

GINAコラム「カンジダをきたす3つの要因」

カンジダ性亀頭炎


腟カンジダ症が性感染でない場合があるのに対して、カンジダ性亀頭炎は性感染であることもあります。しかしながら、小学生の男の子でもカンジダ性亀頭炎を起こすことがありますから、必ずしも性感染というわけではありません。特に、包茎の人は性交渉がなくてもカンジダ性亀頭炎をおこしやすいと言えます。

繰り返す場合は、免疫能が低下する疾患が隠れていることがあります。実際、カンジダ亀頭炎を繰り返すことから、HIV、糖尿病、悪性腫瘍などが見つかることがあります。

通常は抗真菌薬の外用薬で治りますが、難治性の場合は内服薬を使います。